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事例16

システム構成図 印刷印刷

開発背景

RFID組込み製品のプロトタイプを作成して欲しいとお客様から依頼を受けた。組込み製品は通常、基板を作成してCやアセンブラ言語で構築するのがほとんどだが、製品ライフサイクルが短期化しており、開発コストの低減や開発期間の短縮の要求が急速に高まっている中、従来の開発手法だとなかなか改善できない。LabVIEWを使用して時間とコストを削減して組込み製品開発を実現できるという期待から開発をスタートした。

課題

1. 他の製品との差別化
新商品開発の際は売れるものを開発するため他の製品との差別化を行なう必要がある。そのためには市場投入前に機能性、操作性、デザイン、安全性、製品コストなど様々な製品の検証を行って仕様の明確化、改良を行なうことが必要である。

2. 短納期で開発
通常は製品が完成するまでには多くの年月を費やすので完成後には市場が大きく変化している可能性がある。市場の変化に対応するため、迅速な開発をしなければならない。

3. 不具合の早期発見
通常の開発手法は仕様書を作成し、回路を設計し基板にしてソフトを作成し、その後検証を行う。例えばもし不具合が発生したらその箇所のステップに戻って修正を行う。特にRFIDなどの電波を使った製品は、データの読取り可否以外にも電波法やEMI対策なども考慮しなくてはならない。製品改良のためには基板を作り直す恐れもある。

4. 市場投入の意思決定
製品の市場投入の意思決定は量産前に評価が下る。せっかく労力を費やして試作品を開発しても売れるものでないと判断されればそこで開発中止となる。はやめの判断を行い多大な開発時間とコストをかけずに改良を行なう必要がある。

ソリューション

1. LabVIEWで動きを確認
最初から基板を作成して開発する前に量産化で低価格になったモバイルパソコンを使って動作を確認した方が低コストで仕様が明確になり開発時間を短縮できる。LabVIEWでまず画面を作成する上で仕様を描く。LabVIEWの制御器パレットにはボタンやダイヤル、グラフなどの部品があり、簡単にユーザインタフェースを構築しすぐに動きを確認でき、機能の追加、変更に対処できる。

2. ハードウェアのインタフェースはCompactRIOを使用
ハードウェアインタフェースにはNI(旧社名:National Instruments)製CompactRIOを使用した。FPGAを搭載しているIOモジュールを使って、RFIDリーダICの通信とLCD及び外部センサーの集録を可能にする。CompactRIOを使えばモジュール形式で複数のセンサーの集録やモータなどの制御をすることができるので将来、機能を拡張しようと思った時でも問題ない。

3. プログラム開発には流用可能で豊富なサンプルプログラム
プログラム開発はLabVIEWで行なえば簡単に行なうことができるというが実際、最初から作成していては大幅な開発時間の短縮はできない。そこでLabVIEWのサンプルプログラムを参考にした。サンプルファインダという機能を使って参考になりそうなプログラムをまねて作成する。また、NIのサイトには様々なサンプルプログラムをダウンロード可能である。今回はRFIDリーダーのICの通信はSPIだったのだが、わざわざプログラムを作成しなくてもNIのサイトからプログラムが入手できて作成する手間が省けた。

4. RFIDテスタを使って機能検証
RFID製品は電波を使っての製品なのでなかなか検証がしづらい。そこで弊社が開発したRFIDテスターを用いて検証を行った。これもLabVIEWを利用して作成したものである。電波を目に見える波形で確認することで不具合やノイズなどの箇所や動きの改善するべき箇所を把握することができる。また、修正にはLabVIEWのコードを同時に変更するだけでソフトウェアの動きだけではなく、ハードウェアの動きも変更することができるので検証と同時に機能改善が可能になる。

結果

1.短納期の実現と不具合の減少
今回のプロトタイプ作成に対する時間は通常なら数ヶ月かかっていた作業をおよそ1週間で開発できた。これはLabVIEW採用による開発時間の短縮に加え、動きがみえることで不具合を少なくできたのが理由である。

2.完成版とほぼ同じ動きの実現
LabVIEWを使用したプロトタイプ開発により、完成版とほぼ同じ機能を早い段階で持たせ、動きを常に確認することができた。
これは製品販売前に様々な人の意見を聞くことができ、早い段階でより売れる製品にするための改良が加えられる

まとめ

プロトタイプ開発にはLabVIEWを使用することで製品ができる前でも動かすことができる。日本の組込みの開発者不足が問題視しているが動く仕様書LabVIEWを採用すればこの問題を解決できると確信する。

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